まずはここから!インターナル・コミュニケーションを強化する4つのステップ
イントラや社内報、Slackや社内SNSなど、多くの施策をすでに導入しているけれど、果たして成果につながっているのかがわからないと感じている人事や広報担当者の方々もいるのではないでしょうか。そこで、今回は成果を生み出すインターナル・コミュニケーション施策の強化にむけた4つのステップをご紹介します!
ステップ1:現状を把握する
最初の一歩は、とてもシンプルです。まずは、スタート地点(現状)をしっかりと把握しましょう。主に経営層・従業員・人事&広報担当という3つの視点から、現状のインターナル・コミュニケーションに対する満足度や課題意識を、定性的・定量的に把握していきます。

定量的に把握する
- データ
イントラや社内SNSなど、デジタルツールを既に使用している場合は、閲覧数やリアクション数などがデータで把握できます。閲覧数やリアクション数を、月毎・トピック事・チームや部署別に把握していきます。
- アンケート
簡単なウェブアンケートを実施し、満足度・使用頻度を調査します。その際に、満足度や使用頻度を、1-10のスケールで回答してもらうなど、なるべく定量的な回答ができるようにしましょう。スケール評価とともに、簡単な理由をコメントで記載してもらうと良いでしょう。
この際に、利用頻度と満足度は別で評価してもらいます。例えば、社内のチャットツールに必ずしも「満足はしていない」が、「それしかないので使っている」というケースもあります。使用頻度と満足度のギャップが、課題の仮説づくりに役立つこともあるでしょう。
定性的に把握する
- インタビュー
ウェブアンケートに回答してくれた従業員の中から、特に意見を聞いてみたい社員を選定し、個別にインタビューを行い、情報の内容や頻度、量、チャンネルに対する課題意識や満足している点について詳細を聞き出します。共通するキーワードやコメントが把握できるとよいでしょう。
- 経営層向けヒアリング
経営層に対しても、従業員とのコミュニケーションに関する満足度や課題意識をヒアリングします。インターナル・コミュニケーションをうまく機能させるには、双方向の情報・想いのやりとりが重要ですので、経営層の視点からの課題感も把握しましょう。
Information is giving out. Communication is getting through (情報は伝えるもの。コミュニケーションは伝わるもの)
Rachel Miller- CEO, All Things IC
ステップ2:チャネルを整理する
ステップ1で入手した情報を、ステップ2「チャネルを整理する」でまとめていきます。特に最近では、多くのデジタルコミュニケーションツールが手軽に導入できるため、流行りのツールを導入していたらいつの間にかチャネルが増えすぎていた!という企業もあるかもしれません。
インターナル・コミュニケーションを強化する上で、つい新しいツールや施策に走りがちです。しかし、まずは今あるものを整理し、既存のツールを「少し改良することで代替ができないか」を検討する視点も重要です。
ここでは、1の現状把握のステップで入手した情報をもとに、チャネル(施策)毎に、目的・対象・頻度・方向・コスト・実績・評価を整理していきます。

- 目的:何のためにこのチャネルは導入されたのか。今、どのような目的を果たしているのか
- 対象:だれのためのチャネルなのか。特に使用しているユーザーは誰か(または、誰が使用していないか)
- 頻度:どのくらい使用されているか。情報発信の頻度は
- 方向性:トップダウンか、ボトムアップか、従業員同士のものか
- コスト:人員コスト、経費など
- 実績:閲覧数など定量的な実績や、従業員の満足度など
- 評価:従業員からのコメントや、広報・人事担当者や経営者からのコメントなど
ここで特に重要なのは、「目的」と「対象」です。
特に、長年実施されている施策は、当初の目的と現状がいつのまにか一致しなくなっているとうこともあります。
例えば、創業当時に開始された社内報は、当初は、数百名程度の社員全体にむけた情報発信の施策ではあったが、現在はデジタルツールも普及しているため、実際は若手の社員には閲覧されていないというケースもあります。
元々の目的と現実のズレが、改善点に対するインサイトを与え、目指すべき姿を描くヒントを与えてくれます。
ステップ3:ゴールを設定する
現状とチャネルを整理したら、ここからはゴール設定です。
まずは現状の課題を、「●●が、xxxの状態である」というような形で端的に表現してみましょう。
(例)
「社内報は、コストがかかる割には、全社員に読まれていない状態である」
「社内SNSの投稿は、半数以上に閲覧されておらず、投稿する人も限定されている状態である」
それに対し、改善した状態とはどのような状態であるかも端的に表現します。
改善した状態を書く時は、一旦既存のツールや施策にはこだわらず、どのような状態を創り出したいか、最終的なインパクトに焦点をあてます。
(例)
「社員の雑談のネタとなるような共通のストーリーや話題が浸透し、部署を超えたコミュニケーションが生まれている」
「社員の日常の気づきが手軽に自主的に共有されていて、社員同士がリアクションするような場が生まれて称えあう文化が生まれている」
ゴールを考える時には、それをすることで、誰に、どのような行動(action)・感情(feeling)・考え(thinking)の変容を促したいのかを起点とし、人をイメージしながら考えるとよいでしょう。
「課題」は現状の分析から始めますが、「ゴール」を設定するときは、一旦ツールから目を離し、「目的(最終的に何を生み出したいのか)」をもとに設定するのがポイントです。それにより、既存のツールに囚われない、新たなコミュニケーション施策のアイデアが生まれてきます。
ステップ4:施策をプランする

最後に、施策を検討します。その際に、ステップ2で利用したチャネルの整理のマトリックスを活用し、施策をプランニングすることもおすすめです。
ゴールから逆算し、現状の施策の内、
①やめていいもの
②改善できるもの
③現状のまま続けるもの
をまずは整理します。
既存の施策を改良することで、ゴールを達成できるかを検討します。その上で、もし新たなツールに代替したほうが良い場合にのみ、新たな施策やツールの導入を検討すると良いでしょう。
今日は、インターナル・コミュニケーションを強化するという視点から、最初の4ステップをご紹介しました。インターナル・コミュニケーションは、各社の風土・状況・リソースによって左右されるため、一つの正解がないものです。
ぜひ、トライアル&フィードバックを重ねながら、自社のインターナル・コミュニケーションを最適化してみてはいかがでしょうか。
参考)
Transforming your Internal Comms S1 E2 Candid Comms podcast with Rachel Miller
How to plan your IC channels S1 E8 Candid Comms podcast with Rachel Miller